ツバサジャパンでは、東京都のドバト捕獲許可制度について調査を進める中で、現在の包括許可及び事後報告型運用には、制度上の大きな課題があると考えています。
東京都環境局への確認によれば、現在の運用は、都内全域を対象とする包括的な鳥獣捕獲許可をあらかじめ交付し、個別の捕獲実施場所については事後報告により把握する仕組みとなっています。
また、東京都が開示資料によれば、個別施設から提出される「有害鳥獣捕獲依頼書」は、許可証返納時に提出することとされています。
つまり、東京都は個別の捕獲実施場所を事前には把握しておらず、捕獲実施後の報告によって初めて個別案件を把握する運用となっています。
私たちは、この制度には次の三つの大きな問題があると考えています。
① 「捕獲は最後の手段」という原則を東京都が確認できないこと
鳥獣保護管理法及び東京都第13次鳥獣保護管理事業計画では、鳥獣捕獲は、防鳥ネット、忌避措置、追い払い等の非致死的な防除対策を十分に講じてもなお被害防止が困難な場合に限り実施されるべきものとされています。
しかし、現在の包括許可及び事後報告型運用では、東京都は個別の捕獲実施場所を事前に把握していません。
そのため、個々の現場において
- 防鳥ネット等の非致死的な防除対策が十分に実施されているのか
- 捕獲以外の方法では被害防止が困難な状況なのか
- 本当に捕獲が必要な案件なのか
について、東京都自身が事前に確認することができません。
つまり、鳥獣保護管理法及び東京都第13次鳥獣保護管理事業計画が掲げる「捕獲は最後の手段である」という基本原則が、個々の現場で適切に守られているかを東京都が確認できない制度となっています。
私たちは、これが現在の制度における最も大きな問題であると考えています。
② 捕獲時の「注意事項」が守られているか確認できないこと
東京都は包括許可を交付する際、「鳥獣捕獲の注意事項」を交付し、標識表示や捕獲方法など、遵守すべき事項を定めています。
しかし、東京都は個別実施場所を事前に把握していないため、これらの注意事項が実際の現場で守られているかを、捕獲実施中に確認することができません。
実際に私たちが確認した事例でも捕獲器に法令で求められる標識が適切に表示されておらず、東京都へ連絡した結果、その時点で是正が行われました。
このことは、注意事項を定めるだけでは制度は機能せず、それが実際に守られているかを行政が確認・監督する仕組みが必要であることを示しています。
③ 利益相反のおそれを制度上内包していること
現在の運用では、東京都は民間営利企業に包括許可を交付し、個々の現場において捕獲を実施するかどうかの判断は、包括許可の範囲内で鳥獣捕獲業務を行う民間営利企業が行い、東京都はその結果を事後報告により把握しています。
鳥獣捕獲を業務とする営利企業は、捕獲業務を受託し実施することで事業収益を得ます。
そのため、捕獲を実施することで利益を得る立場と、捕獲を実施するかどうかを判断する立場が重なるという利益相反のおそれを制度上内包していると私たちは考えています。
もちろん、民間営利企業が鳥獣被害対策を担うこと自体を否定するものではありません。
しかしこのような制度である以上、行政には個別案件について客観的な立場から確認し、適切に監督する役割が強く求められます。
ツバサジャパンが求めること
私たちは、鳥獣被害対策を否定しているのではありません。
必要な被害対策は適切に行われるべきです。
しかしその前提として、
- 法令にしたがい捕獲以外の防除対策が捕獲前に十分に講じられていること
- 東京都が示す「注意事項」が適切に守られていること
- 防鳥対策だけでは被害を防止することができず捕獲が真に必要であること
について、行政が個別案件ごとに客観的に確認し、監督できる制度でなければならないと考えます。
ツバサジャパンは今後も情報公開制度等を活用し、制度の実態を明らかにするとともに、鳥獣保護管理法及び東京都第13次鳥獣保護管理事業計画の趣旨に沿った、より適正で透明性の高い鳥獣捕獲許可制度の実現を目指して活動を続けてまいります。
